＜台風１５号＞「また避難なんて」 仮設冠水、住民うんざり

＜台風１５号＞「また避難なんて」　仮設冠水、住民うんざり

　猛烈な風雨を伴って列島を駆け抜けた台風１５号は、各地に大きな被害をもたらし、２２日午後３時ごろ、千島列島近海で温帯低気圧に変わった。午後７時現在の毎日新聞のまとめでは、１２人が死亡し、４人が行方不明になっている。東日本大震災の傷痕が残る被災地も直撃を受け、宮城県で２人、岩手県で１人が犠牲になった。福島県郡山市では住宅地が冠水して住民が孤立し、被災者は度重なる災害に見舞われた。



　宮城県内は仮設住宅からの避難が相次ぎ、多くの被災者が「また避難するなんて」とうんざりした表情を浮かべた。



　女川町では２１日午後９時１０分ごろ「清水町の仮設住宅付近の町道が腰辺りまで冠水している」と巡回中の町職員が報告。町は２カ所の仮設住宅で暮らす１７０世帯、４７２人に避難指示を発令した。



　このうち女川総合運動場の仮設住宅は山から流れた水が敷地内にたまり、水をくみ出すポンプ車が出動。約２５人が山から離れた体育館に避難した。疲れ切った表情を浮かべた成田勝子さん（７０）は「仮設住宅の周辺はひざ下まで水がたまり、びしょぬれ。雨と風の音で全然眠れなかった。また水が怖いと感じるとは思わなかった」。阿部英男さん（７４）は「町職員から『ポンプ車では追いつかないから避難して』と言われた。水がたまって心配したが、津波に比べれば怖くないさ」と振り返った。



　避難勧告を発令した気仙沼市でも仮設住宅からの避難が相次いだ。長男（１０）、次男（２）を連れ知人宅に避難した主婦（３３）は疲れた様子で「雨脚が強くなり、仮設住宅にいるのも不安だった。震災から半年たったばかりなのに、また避難するなんて」と話した。



　女川町と松島町では道路の冠水などで住民が孤立し、村井嘉浩知事の要請を受けて陸上自衛隊が約２９０人を派遣。松島町で住民６人を救出した。



　県によると、避難指示、避難勧告は計１万１０９５世帯、３万６０５人に出された。美里町など４市町の計３０棟が床上・床下浸水した。



　石巻市は２２日午後、河川や用水路の増水のほか、震災で地盤沈下した地区が満潮で浸水する恐れが高まったため、再び４５０７世帯１万１３７２人に避難勧告した。【須藤唯哉、平元英治、宇多川はるか、平川哲也】





(この記事は社会（毎日新聞）から引用させて頂きました)



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